世界でもっとも貧しい大統領 ホセ・ムヒカの言葉

世界でもっとも貧しい大統領と言われるウルグアイの元大統領 ホセ・ムヒカさんをご存知ですか?

・大統領でありながら、大統領邸に住むことを拒み、小さな農場で暮らす。

・大統領専用車を使わず、1987年製のビートルで出かける。

・大統領の給料およそ131万円(2015.6のレートで換算)のうち9割を寄与して、生活をする。

そんなホセ・ムヒカさんについての言葉をまとめた本が、「世界でもっとも貧しい大統領 ホセ・ムヒカの言葉」です。

この資本主義の世の中、急激な発展や激しい競争の世の中で、このままただひたすら走り続けていいのかと疑問に思ったときにふと足をとめてみて、「どう生きていけばいいのか」を考えさせてくれるようなそんな一冊です。

もっとも衝撃的スピーチ

ホセ・ムヒカ大統領を一躍有名にしたのは2012年ブラジル・リオ・デ・ジャネイロでの持続可能な開発会議(リオ会議)でのスピーチです。

スピーチの冒頭は先進国、消費主義への痛烈な批判から始まります。西洋の富裕社会が持つ傲慢な消費を、世界中の人がしたら、原材料は足りるのか、そんなことは可能なのか。みんなが見て見ぬふりをしていた部分に鋭く切り込み、現在の危機問題は環境問題ではなく、明らかに政治的危機問題だと訴えます。

私たちは発展するために生まれてきているわけではありません。幸せになるためにこの地球にやってきたのです。

「世界で最も貧しい大統領 ホセ・ムヒカの言葉」より

激しい競争の中で発展すること、成功することこそが幸せだという世の中に一石を投じる一言。

欲しいものがどんどん手に入る生活こそ裕福であるというのは一つの価値観でしかないということに気付かされます。今の世界の危機は水源危機、環境危機が問題の源ではなく、根本的な問題は私たちが実行してきた社会モデルだと。そして改めて見直さなければならないのは私たちのライフスタイルだと。

貧乏な人とは少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ。

「世界でもっとも貧しい大統領 ホセ・ムヒカの言葉」より

大統領らしからぬ暮らしをするムヒカ大統領は自分は貧乏ではなく、質素なだけだといい、物をどんどん買うことは裕福ではなく貧乏な人だと訴えます。

日本に住んでいれば衣食住に困ることはなく、お金がないという人も家の中をみればもので溢れていることがあるでしょう。日本は世界的に見れば経済的に成功した国だといわれていますが、本当に裕福だと言えるのでしょうか。日本にも「足るを知る」という言葉があります。少ないものの中でも幸せな暮らしを追求していくことができるのではないかと考えさせられます。

質素の哲学

ムヒカ大統領はリオ会議以外でも素晴らしい言葉を多数残されています。そのなかでも質素な生活をし、その質素の哲学には多くの人の共感が寄せられています。

物で溢れることが自由なのではなく、時間で溢れることが自由なのです。

「世界でもっとも貧しい大統領 ホセ・ムヒカの言葉」より

欲しい物をどんどん買えば買うほど、その物を管理するために時間をとられ、自由な時間を失っていきます。楽しく自由な時間を過ごすために買った物で、逆に不自由になっていく。本当の自由とは「家族や子供に愛情を注ぐこと」、「友人との時間を大切にすること」、「自分の好きなことをすること」そういったことに時間を使うことこそ本当の自由、幸せではないかムヒカ大統領は言います。

人がものを買うときは、お金で買ってはいない。そのお金を貯めるために割いた人生の時間で買っているのだ。

「世界でもっとも貧しい大統領 ホセ・ムヒカの言葉」より

家や車のローンを組めばその支払いのために必死に残業をしてお金を稼がないといけなくなるかもしれません。家族や子供と過ごす大切な時間を代償としてお金を稼ぎ、そのお金で物を買っているのです。かけがえない時間を失ってまで必要な物はそんなにたくさんあるのだろうか。自分自身が何かを買おうとするときにこの言葉が頭をよぎるようになりました。

ムヒカ大統領からのメッセージ

2014年12月、エクアドルで開催された南米諸国連合の会議でムヒカ大統領がしたスピーチはまたも世界の多くの人の心に響きました。

人生を生きるために戦ってください。人生に中身をあげてください。あなたは自分の人生の方向性をある程度決められます。自分の人生の道を切り拓いていけるのです。他の生き物と違い、あなたは自分の人生に中身を詰めるか詰めないかを選択できるのです。

「世界でもっとも貧しい大統領 ホセ・ムヒカの言葉」より

私たちはまだ自分の生き方を選べます。競争社会の中を必死に走り働き続け、そのストレスを発散するためかのように物をどんどん買い、使い捨てる。そしてまたその物を買うためにまた必死に働く。自分自身の大切な時間を犠牲にして、物を使い捨てることで地球環境を脅かし、そこまでして発展を続けることは本当に幸せになるための最も良い方法なのだろうか。

自分の人生にどんな中身を与えるのか。どんな人生を歩んでいくのか。とても考えさせられる一冊でした。

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